発展性が魅力の海外不動産投資ですが、その反面思いもしない失敗をするケースもみられます。
マレーシアはほかの東南アジアの新興国に比べて、カントリーリスクが比較的低いと言われていますが、注意しなければ思わぬ損失を被ることになります。そこで今回はそのリスクを回避するために失敗するパターンを学んできましょう。
現地を見ていないで購入する
計画がまったくのウソだったとか、目的の不動産とは違うものを買わされたなど、詐欺的な取引が行われたという話は、ことマレーシではあまり聞くことはありません。
しかし、大規模な再開発やリゾート開発の物件が、イメージ図や計画通りにいかず、開発がとん挫してしまうとか、ショッピングモールは出来てもテナントはガラガラなんてことは残念ながら起こりえます。
現地を見ればそのリスクのすべてを回避できるかとは断言できませんが、自分の目で見て、物件や街の将来性を判断することはとても大事であります。
従って、投資を行うには、やはり現地を見るべきですし、現地視察を進めないディベロッパーは、むしろ見られては見られてはまずいものがあるかもしれませんのでそのような物件はあまりお勧めができません。
業者や関係者任せにしてしまう
不動産投資は物件と物件が所在する街の将来性の判断が重要ですが、その誰も分からない将来性は、結局自分で調べて判断するしかありません。法規制や税制なども確かに国内物件でも難しいのですが、難しいからといって業者等の説明をそのまま受け入れてしまうことはよくないです。
経験がある業者といえども、経験に頼るためむしろ最新の情報がアップデートできておらず、勘違いしてしまうこともあります。そして、海外でやっかいなのは、それをなかなか自分のミスと認めないことであります。
日本では考えられないですが、不動産取引に深くかかわる銀行さえ送金指示を忘れたり、約束の日を間違えたりすることさえあります。その原因は銀行というより、その担当者個人の資質に大きく関わるのです。
以上から不動産投資では業者はもちろん、その他もろもろのお手伝いをしてくれる人も、ちゃんとした人かどうか依頼者自身が判断しなければなりません。そして、その判断をするために一定の知識を持つ必要があるのです。
為替変動を考慮していない
日本国内で、ある程度の投資実績を持ち、海外の法規制も十分に勉強していて、空室や出口戦略の立て方も完璧という上級の投資家でさえも、海外ならではの避けられないリスクとして為替の変動があります。
マレーシアリンギットはこの10年間を見ても、2014年11月には35円を超えていましたが、2年前の2020年5月には25円を切るまで下落しました。しかし2022年7月現在で30円を超えるまで回復しています。
つまり100万リンギットの資産価値を維持し続けている不動産であっても、売却して円転する時期によっては3,500万円にもなれば、2,500万円にもなってしまうのです。
この為替という海外ならではの要因で、不動産の“手取り”が大きく変わるため、「○○年後に売ろう」と想定していた出口戦略が見直しの必要に迫られるのです。
この為替に関してはどんなに不動産投資に関する経験が豊富でも、不動産以外の要因で変動し、その将来は誰にも分からないので対策は難しいのです。
これらの失敗を防ぐには、現地を良く知り、現地の通貨で価値判断をし、現地の基準でリターンやコストを見積もる癖をつける必要があります。そのためには、投資をしようとする街に「投資家目線」で住んでみることも一つの対策といえると思います。