マレーシアの有名な高層建築物といえばペトロナス・ツインタワーです。
高さが約450メートルで88階建であり、1998年に完成しました。2003年に高さ500m超の101タワーが台湾にできることで当時の世界一の座を明け渡しましたが、その美しいデザインから、今なおマレーシアの代表的なランドマークなっています。
その後も中国を中心に各地で高さ600m以上のビルが続々と誕生し、今や101タワーも世界ではトップ10圏外になってしまいました。現在ではドバイにあるブルジュ・ハリファが世界1であり、その高さは828mで206階建と、2位の上海タワー(632m、128階)を大きく引き離しています。
そんな現在の世界の高層ビルランキングに食い込むのが、今年マレーシアに誕生する「ムルデカPNB118」です。同ビルは2014年から着工していますが、完成すれば高さ約678m、118階建てとなり、上海タワーを上回り世界2位になる予定です。
また2019年に完成予定のはずが、コロナ等の影響で延び延びとなっていた「The exchange 106」という高層ビルが、クアラルプールの金融特区である「TRX」の中心地に誕生します。
「The exchange 106」の高さは96階建てで492メートルであるので、世界のトップ10に入るものではありません。とはいえ上記のPNB118と合わせてれば、世界有数の高さのビルがほぼ同時期にクアラルンプールに2棟できることになります。
ペトロナス・ツインタワーの完成から24年を経て、“ツイン”ではないものの、新たに2つもランドマークができることに、マレーシアという国の勢いを感じます。
ちなみに日本でも高層ビルはありますが、2022年現在日本1の高さのビルは大阪の「あべのハルカス」で、高さは約300mの60階建てです。
現在建築中の2027年の竣工時に日本1になる予定のビルは、東京駅に隣接して開発が進む「Tokyo Torch」地区内に誕生する「トーチタワー」であります。これは新たな東京のみならず日本のランドマークになるのは間違いないのですが、その高さは約390mで63階建であります。
日本は地震があるという地域性があるせいか、近年建てられる建物でもせいぜい50階程度で高さ200m台の建物が主流であり、実は1970年代に新宿に建てられた高層ビル群の時代から現在まであまり変わっていないようです。
世界的にはむしろ大規模な建築物より、エコな建築物が主流であって、大きければいいとわけではありませんが、ビルを高層化することで、都市空間を有効に使えるメリットはあると思います。
そう思うと、日本は技術的には100階建てでも問題なく作れるはずなのに、経済的には「もう100階建てなんていらない国」のような気もしてきます。
マレーシアから友人が来た時に、トーチタワーを案内しても、その眺めに喜んでくれるかどうかは分かりません。むしろ、「世界の高さ」を体感するために、我々日本人がマレーシアに出かけて、タワーからの眺めを楽しむ時代となったようです。